2026-06-17

MCTはケトン体を上げなくても脳を守った──ケトン体神話を超える新しい機序

火曜モーニング会

🥥 3行まとめ

「MCTオイルが脳を守るのは、ケトン体を作るから」──長年そう語られてきた解釈でした。今日の研究はその前提に疑問符を打ちます。マウス実験で、MCT食のグループは血中ケトン体が上がらないまま、インスリン感受性が改善し認知機能が守られました。ケトン体以外の経路が、はっきりと動いていた。私たちがここ数年続けてきた習慣の意味が、もう一段深いところから裏付けられた回でした。

📖 今週のキーワード

「ケトン非依存的機序(Ketone-independent mechanism)」
→ ケトン体ルートを経ずに代謝を改善する経路
→ 今回の研究でMCT食グループに確認。インスリン感受性の向上がその入り口

「インスリン感受性(Insulin sensitivity)」
→ インスリンに対して細胞がどれだけ応答できるか
→ 低下するとブドウ糖の取り込みが悪くなり、脳のエネルギー供給にも影響が出る
→ MCTはこれを改善することで、ケトン体に頼らない脳保護を実現した

「進化的食生(Evolutionary dietary background)」
→ 生き物が進化の過程で食べてきた食物・食習慣のこと
→ 今回の実験でケトジェニック食に使われたカカオバターは、動物性の飽和脂肪酸に近い組成
→ 人間が骨髄・内臓・動物性脂肪を食べながら進化してきたという背景と重なる

🔍 ちょっと補足

会話の中で、実験の読み解きを2軸で整理しました。

「経路の整理」

MCT → 低糖質食 → ケトン体⬆ → 認知改善
→ これまでわかっていた経路

MCT → 通常食(高糖質食)→ ケトン体に変化なし → 認知改善
→ 今回の新しい発見。ケトン体が増えなくても、脳への働きかけは起きていた。

「進化的食性で結果が変わる」

ケトジェニック食(人類食に近い組成)→ 人間には改善 / 穀物食のネズミには悪化
カカオやここナッツ(動物油に近い果実油)→ 人間には改善 / 種子油で育ったネズミには悪化

どんな油で進化してきたかによって、同じ油でも体の反応が変わる。これが「進化的食性」という言葉の実体です。

「ここナッツオイルとカカオバター・牛肉の意外な共通点」

ここナッツオイルからMCT(全体の約60%)を除いた残り40%の脂肪酸組成——
飽和75%、一価20%、多価5%

カカオバター:飽和61%、一価36%、多価3%
牛肉:飽和45%、一価50%、多価5%

3つに共通するのは「多価不飽和脂肪酸が2〜5%と極めて少ない」こと。植物由来のカカオもここナッツも、脂肪酸の組成では動物油に近い構造を持っている。人類が骨髄や内臓を食べながら進化してきた「見覚えのある形」と、重なっている。

✅ 今週のチャレンジ

「ケトン体になるぞ」という目標を一旦脇に置いて、今週は「毎日少量を、同じタイミングで」だけを意識してみてください。

今日の研究が示したのは、ケトン体が測定できるほど増えなくても、代謝のどこかは動いているということです。先週の広島のおばあちゃんも、今日のゆみさんも、継続の先に変化があった。量より、リズムの確かさを。

#火曜モーニング会

📎 今日の話題のきっかけとなった記事

[MCTは「ケトン体を上げなくても」脳を守った── ケトン体神話を超える新しい機序](https://21globalclub.com/publish/article/K3tn8eR4mS)

参照論文:PMID 40794774

この日のスピーカーの体験談など
続きは認定ココナッツマイスターの方にお届けしています。

📎 今日の話題のきっかけとなった論文: PMID 40794774